ロイヤルカスタマーとは?
育成方法・分析手法・成功事例を徹底解説!

ロイヤルカスタマーとは

企業にとって安定した収益を生み出すためには、新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客を長期的に維持・強化することが大切です。中でも、継続的に商品やサービスを利用し、ブランドへの愛着を持つ「ロイヤルカスタマー」は、事業成長を支える存在です。しかし、計画的な施策や顧客理解なしにロイヤルカスタマーを自然に増やすのは容易ではありません。

この記事では、既存顧客の活性化や売上安定化を目指すビジネスパーソンの方へ向けて、ロイヤルカスタマーの基本的な考え方や育成の具体的な方法、分析手法、成功事例を解説します。ぜひお役立てください。

1.ロイヤルカスタマーとは

ロイヤルカスタマー(Loyal Customer)とは、企業やブランドに対して強い愛着や信頼を持ち、他社に乗り換えることなく長く利用し続けてくれる顧客のことを指します。単に購入頻度が高い「優良顧客」とは異なり、心理的なつながりを持っている点が特徴です。

たとえば、「多少の不満があっても、このブランドを選び続けたい」「この商品だけは他に代えられない」と感じるような存在です。こうした顧客は自ら口コミを発信してブランドの魅力を広めてくれることもあり、企業にとっては大きな資産と言えます。ロイヤルカスタマーを増やすことは、安定的な売上や長期的な成長につながるため、どの企業にとっても欠かせない取り組みと言えるでしょう。

企業の商品やサービスに対して愛着を持ってもらう、顧客ロイヤルティを向上する方法については以下の記事でも解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

1-1.ロイヤルカスタマーを育成する重要性

ロイヤルカスタマーを育成することは、企業にとって長期的な成長を支える大きな要素となります。まず、ブランドに愛着を持つ顧客は購買頻度が高く、LTV(顧客生涯価値)が自然と向上します。新規顧客を獲得するには広告費や人件費といった大きなコストがかかりますが、既存顧客を維持すれば効率的に利益を積み上げられます。

また、ロイヤルカスタマーはSNSを通じて商品やサービスを積極的に発信してくれる存在でもあります。その投稿はUGC(ユーザー生成コンテンツ)として広がり、フォロワーの購買意欲やブランド選択に大きな影響を与えます。商品やサービスに精通した彼らは、企業にとって質の高いフィードバックを提供してくれる重要なパートナーです。ロイヤルカスタマーの行動によってブランド力が高まり、競争の激しい市場でも優位性を保てます。

LTV(顧客生涯価値)やVOC(顧客の声)について以下で解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

2.ロイヤルカスタマーを育成する方法

ロイヤルカスタマーを育成するには、戦略的に顧客との関係を深めていくことが大切です。ターゲットを明確にし、顧客体験の設計を工夫することで、長期的な信頼関係を築けます。ここでは、ロイヤルカスタマーを育成する方法を具体的に解説します。

2-1.ターゲットとなる顧客を決める

ロイヤルカスタマーを育成する際は、まず自社にとっての理想的な顧客像を明確にすることから始めましょう。ロイヤルカスタマーの定義は業種や商材によって異なり、高額商品を継続的に購入してくれる顧客や、少額でも高頻度で利用してくれる顧客など、複数のタイプが考えられます。口コミ投稿やSNSでの発信、イベントへの参加率、メルマガの開封率といった行動指標も重要な判断材料となります。

これらの要素を組み合わせ、自社のビジネスモデルに適した基準を設定することで、どの顧客を重点的に育成すべきかが見えてきます。ターゲットが明確になれば、マーケティング施策やコミュニケーションの精度を高めやすくなります。精度が高まれば、顧客との結びつきが強まり、ロイヤルカスタマーの育成へとつながります。

2-2.カスタマージャーニーマップを定める

顧客像を明確にしたら、その顧客に最適な体験を設計するために、顧客がブランドとどう出会い、購入し、継続利用に至るのかを可視化します。可視化に有効なのが「カスタマージャーニーマップ」です。カスタマージャーニーマップは、顧客が商品やサービスを知り、体験し、再購入に至るまでの流れや接点を整理した図表で、各段階での感情や課題も含めて把握できます。

マップを活用すれば、顧客がつまずきやすいポイントや不満を解消し、期待を上回る体験を提供する施策を立てやすくなります。たとえば、購入直後のサポートやアフターフォローを強化するなど、段階ごとに適切な対応が可能です。取り組みの積み重ねにより、ブランドへの信頼と愛着を強め、ロイヤルカスタマーの育成につながります。

カスタマージャーニーマップの作り方について以下で解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

2-3.顧客との接点を増やす

カスタマージャーニーマップで顧客の体験や課題を整理したら、次は実際に接点を増やしていく段階です。マップで把握した行動や感情に応じて、どのタイミングでどのような情報やサポートを届ければよいかを考え、施策に落とし込みます。ロイヤルカスタマーを育成するには、接点を増やして信頼関係を築くことが重要です。

現代の顧客はスマートフォンやPCを通じて多様な情報に触れているため、従来の電話対応だけでは不十分です。メールマガジンやLINE通知、SNSの活用を組み合わせて定期的に情報を届ければ、関心を維持しやすくなります。不満への素早い対応や口コミへの感謝など、双方向のやり取りを意識することで親近感が生まれ、購入頻度や信頼度の向上につながります。

2-4.カスタマーエクスペリエンス(CX)を設計しなおす

顧客との接点を増やしたら、接点の中で得られる体験の質を高める必要があります。そのため、商品そのものだけでなく、購入前からアフターフォローまでの体験全体を見直すことが重要です。CX(Customer Experience:顧客体験)とは、顧客が商品やサービスを認知し、比較検討し、購入・利用し続ける一連のプロセスで得られる体験を指します。購入時のサポートやアフターケアも含め、各段階で満足度を高められるよう改善を重ねましょう。

たとえば、Webサイトの分かりやすさや接客、サポート対応の速さは顧客の印象に直結します。アンケートやカスタマージャーニーマップを活用すれば心理や課題を把握できます。得られた情報をもとに体験を改善することで、信頼と愛着を強め、長期的な関係構築につながります。

CXやCX戦略について以下で解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

3.ロイヤルカスタマー育成に使える顧客分析手法

ロイヤルカスタマーを見出し、育成するには、顧客の行動や心理を数値化して把握する必要があります。顧客分析手法として代表的なのが「NPS®調査」と「RFM分析」です。

NPS®(ネット・プロモーター・スコア)は、顧客に「この商品・サービスを友人にすすめる可能性は?」と尋ね、0~10点で評価してもらう方法です。推奨者と批判者の割合からスコアを算出し、顧客ロイヤルティを可視化できます。自由回答を組み合わせれば、不満や改善点を把握でき、ロイヤルカスタマー育成に役立ちます。

一方、RFM分析は、「最終購入日(Recency)」「購入頻度(Frequency)」「購入金額(Monetary)」の3指標で顧客を分類する手法です。R・F・Mの数値が高い顧客は優良顧客に位置づけられ、その中からロイヤルカスタマー候補を見極められます。ただし、購買理由までは分からないため、NPS®と併用することで、定量・定性の両面から精度を高められます。

NPS®とRFM分析について以下で解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

  • ネット・プロモーター、ネット・プロモーター・システム、ネット・プロモーター・スコア、NPS、そしてNPS関連で使用されている顔文字は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、NICE Systems, Inc.の登録商標又はサービスマークです。詳細は、ベイン・アンド・カンパニー社のサイトをご確認ください。

4.ロイヤルカスタマーの育成に成功した事例

株式会社ヤマハミュージックジャパンは、会員向けサービス「ヤマハミュージックメンバーズ(YMM)」において、MA(マーケティングオートメーション)とCDP(カスタマーデータプラットフォーム)を活用したファンマーケティングを展開しました。

会員登録直後、1週間のうち4日以上利用している会員はその後の継続率が高いことを分析で明らかにし、登録から1週間で複数回接点を持てるシナリオ設計を実施。さらにサックス製品登録者向けに11週間のシナリオメールを配信したところ、3か月後のMAU率が1.5倍に向上しました。データ分析に基づき、適切なタイミングで適切なコンテンツを届ける仕組みを整えたことが成功要因です。MA・CDPを活用したヤマハのファンマーケティング戦略について以下で解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

MA・CDPを活用したヤマハのファンマーケティング戦略

5.まとめ

ロイヤルカスタマーとは、企業やブランドに強い愛着と信頼を持ち、長期的に利用し続けてくれる顧客です。単なる優良顧客とは異なり、SNSでの発信や口コミを通じてブランド価値を高める存在でもあります。育成には、ターゲットの明確化、カスタマージャーニー設計、接点強化、CX改善といったステップを積み重ねることが有効です。

ロイヤルカスタマーを育成するには、仮説を立てて施策を実行し、効果検証を通じて改善を繰り返すことが重要です。そのためには専門家による伴走支援が大きな力となります。altcircleでは、MA運用や広告運用、SEO対策などデジタルマーケティングに関わる業務を伴走型で提供しております。具体的なサービス内容については以下で紹介しています。

また、ロイヤルカスタマー育成を継続的に推進するには顧客データの一元管理も重要です。具体的なサービス内容については以下で紹介しています。ぜひあわせてご覧ください。