コラム

CX戦略とは?
戦略策定によるメリットや策定手順、ポイントなどを解説!

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顧客に必要とされる企業となるためには、顧客に感動体験を届けるためのCX(カスタマーエクスペリエンス)戦略が欠かせないものになってきています。しかし、具体的に何をしたら良いのか分からない方もいるのではないでしょうか。

この記事では、 CX戦略を策定したい人に向け、CX戦略の概要や注目されている背景、策定手順などを解説します。 CX戦略策定を成功に導くためのポイントも紹介しているため、ぜひお役立てください。

1.CXとは

CX(カスタマーエクスペリエンス)は「顧客体験」と訳され、顧客が商品やサービスを購入する過程、利用する過程、その後のサポートの過程、SNSなどで触れる情報など、 商品・サービスを利用・購入する際のあらゆる体験を指す言葉です。 リピート顧客の獲得や業績アップにつながる重要な指標として注目されています。CXについての定義や詳細は下記の記事にて解説していますので、あわせてご覧ください。

2.CX戦略とは

CX戦略とは、 顧客に関するデータを基に、CXを向上させるための施策を策定・実行することです。 物や情報が溢れる現代社会では、似たような商品・価格の安いものなどが、簡単に手に入るようになり、他社との差別化要素として CXによる差別化が注目されるようになってきました。 CX戦略を策定するには、顧客の期待やニーズの把握・長期的なKPIの設定・競合他社との比較など、さまざまなポイントがあります。

3.UXやCSとの違い

CXと混同されがちなUXやCSとの違いについて解説します。

3-1.CXとUX

UX(ユーザーエクスペリエンス)とは、 商品やサービスそのものに対する顧客の体験です。 UXが実際に商品を使ったり、サービスを受けたりすることで得られる短期的な体験を指す一方、CXは接客をうけたときの印象や、SNSで触れた情報、「ブランドらしさ」など、あらゆる体験が対象となります。CXの一部にUXが含まれるようなイメージを持ちましょう。

3-2.CXとCS

CS(カスタマーサティスファクション)とは、顧客満足度を指します。CSは、顧客が商品やサービスに対して抱く満足や不満について、アンケートなどを通して把握し、何を改善すべきなのかを定量的に評価するための指標です。 接客に関するCS、商品の質に関するCSなど、さまざまな観点から評価できます。そして、 それぞれのCSを高めることがCX向上に結びつきます。

4.CX戦略が重要視されている背景

CX戦略が重視される背景には、 顧客の購買行動の複雑化 があります。IT技術の発展により、顧客は商品やサービスをWebサイトやSNS上で簡単に比較できるようになりました。そのため、 商品やサービスそのものに魅力があっても、情報収集の段階で顧客が不便や不満を感じたり、悪い口コミに触れたりしてしまうと購入にはつながりません。 そうした購入前の顧客体験を改善するためには、適切なCX戦略の策定・実行が必要です。

また、 顧客の価値観の変化 も、CX戦略が重視される理由の1つです。価値観が多様化した現代では、かつてのように画一的な販促・営業活動では顧客に響かなくなってきています。商品やサービスを売るためには、 顧客ごとのニーズを把握し、購買意欲を促す顧客体験を創出できるようなCX戦略 を策定・実行する必要があります。

5.CX戦略を策定・実行するメリット

CX戦略に取り組むことで得られるメリットについて4点紹介します。

5-1.LTV(Life Time Value)向上につながる

CX戦略により顧客ロイヤルティが高まると、リピーターやロイヤルカスタマーの獲得につながります。 マーケティングでは「1:5の法則」という通説があり、 新規顧客を獲得するには既存顧客を維持することと比較して5倍のコストが必要 といわれています。新規顧客を獲得し続けることにコストをかけるよりも、商品やサービスに愛着をもってリピート購入してくれる リピーターやロイヤルカスタマーを増やす方が、安定した売上獲得(LTV向上)につながります。 顧客ロイヤルティ・LTVについては下記の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。

5-2.市場の優位性を確立しやすくなる

世の中には多くの商品やサービスがあふれているため、顧客が「他の商品・サービスも試してみたい」と考えても不思議ではありません。また、質の低い顧客体験を得た顧客がSNSなどのインターネットサービスを通じて、または周囲の家族や友人に対してネガティブな口コミを発信し、さらなる顧客離れを引き起こしてしまうかもしれません。一方で、良質な顧客体験を提供できればポジティブな口コミが広がることになり、ブランドや製品・サービスに対する認知が向上し、新規顧客の獲得にもつながるでしょう。 このように、 よい顧客体験を提供することは競合他社との差別化となり、市場での優位性を確立しやすくなる のです。

5-3.口コミ効果が期待できる

顧客ロイヤルティが高い人は、前述のとおり商品やサービスのすばらしさをSNSや日頃の会話を通じて宣伝してくれる場合があります。 企業からの情報発信ではなく、 中立な立場からの口コミを信頼する人は多い ため、リピーターやロイヤルカスタマーの自発的な口コミは新規顧客獲得に大いに効果的です。

また、ユーザーの口コミ等の情報発信やユーザー同士のコミュニケーションを活性化させるマーケティング手法として、ファンマーケティングが注目されています。以下の記事でファンマーケティングについては以下で解説しています。ぜひあわせてご覧ください。。

5-4.ブランドイメージが向上する

質の高いCXを提供することで、顧客はブランドに好感を抱くようになります。特定の商品やサービスではなく ブランド自体を受け入れてもらえると、アップセルやクロスセルが成立しやすくなり、利益向上につながります。 また、ブランドイメージが確立していれば価格競争に巻き込まれずに済むかもしれません。適正価格で商品やサービスを販売できれば、長期的な利益獲得が見込めます。

6.CX戦略の策定・実行手順

CX戦略を策定・実行する際は、現状把握・顧客分析、戦略策定、検証・改善の3ステップで進めます。あわせて、CXを測定する指標も決めましょう。

6-1.現状把握・顧客分析

顧客ニーズを把握するためには、現状の顧客からどのような評価を受けているかを分析する必要があります。 顧客がいつ、どんな行動をし、どんな気持ちになるのかを、収集したデータを踏まえてペルソナやカスタマージャーニーマップに整理しましょう。 ペルソナやカスタマージャーニーマップを関係者間で共有すると、認識の食い違いを防げます。 ペルソナやカスタマージャーニーマップについては以下で解説していますので、あわせてご覧ください。

次に、ペルソナやカスタマージャーニーマップを基に各顧客接点における課題を決めましょう。課題設定時に押さえておきたいことは 「顧客の真のニーズを捉えているか」と「顧客の期待を超える体験を提供できるか」 です。収集したアンケートなどのデータも踏まえて、顧客の抱いている期待と実際の体験との差分を改善できるような課題を設定しましょう。

また、課題設定とあわせてKPIの設定も必要です。KPIとは、施策の効果確認に使われる指標で、成約率やリピート率などが代表的なKPIとしてあげられます。

6-2.戦略策定

顧客分析が終わりしだい、KPIを達成するための具体的なCX戦略を策定します。CX戦略を策定する際は 「顧客視点」であるかを重視し、1人ひとりの顧客に合わせたアプローチを検討することが重要です。

近年は、顧客の価値観が多様化していため、質の高いCXを提供するためには、顧客それぞれの価値観に寄り添ったアプローチが求められます。顧客のセグメンテーションを行い、 どのセグメントに対しどのような施策を打つのか、セグメントごとの対応優先度はどうするか など、KPIを交えて決定し、戦略を策定しましょう。セグメンテーションについては以下で解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

また、CX戦略策定を行う際の注意事項として以下の2点も意識しましょう。

6-2-1.KPIの計測タイミング

具体的な施策を実行する前に、効果検証のために計測する指標を決めましょう。CXの計測には、前述したCSの他にもNPS(推奨度)やCES(顧客努力度)といった指標も使われます。設定した課題にあわせ適切なKPIを選択し、計測を行いましょう。

また、 顧客との関係性や顧客が重視する価値は日々変化するものです。 定期的なサイクルで計測するだけでなく、施策の実行前後など、自社にとって重要なタイミングでCXを計測しましょう。

6-2-2.施策の実行は段階を分けて行う

CXはあらゆる顧客体験が対象となるため、商品やサービスそのものの改善が求められる状況もあれば、組織的な改善が必要な状況もあります。そのため、CX戦略を策定・実行する際は、 すぐに実施できる施策と、中長期的に取り組む施策に分けて、段階を踏んで行いましょう。

また、一度に多くの施策を実行しすぎると、たとえCXが改善しても、どの施策が効果を発揮したかを判断しにくくなってしまいます。PDCAサイクルを回しやすい単位で施策を実行しましょう。

6-3.検証・改善

施策実行後は、必ず効果検証を行いましょう。実行した施策が期待通りの成果を得られたか、事前に定義したKPIをもとに判断します。現状の施策に課題や改善点が見つかった場合は、再び施策の検討に立ち返りましょう。 前述の通り、 CXはあらゆる顧客体験が対象となるため、個別の施策を実行してもすぐにCXが改善するとは限りません。 また、顧客ニーズは競合他社や世の中の状況に応じ、刻々と変化します。 仮説と検証を繰り返しながらCX戦略をアップデートしていきましょう。

7.CX戦略の成功事例

CX戦略に絶対的な正解はなく、各企業のビジネスや組織体制によって求められる方向性は異なります。ここでは2つのCX戦略成功事例を紹介します。自社のCX戦略策定の際に参考にしてください。

7-1.VRを活用した新しい顧客体験

とある家具や生活用品関連の販売店は、新しい顧客体験の提供を目的として、VRを活用した「バーチャルショールーム」を展開しました。バーチャルショールームでは自由に空間を移動でき、家具や生活用品が実際に飾ってある様子を見ながら商品を検討できます。各商品付近の「丸いピン」をクリックすると、そのまま公式通販サイトで商品を購入できる仕組みです。情報収集から商品の比較・購入までスムーズに進むため、顧客の離脱が抑制され、EC売上の拡大に寄与しています。

7-2.コンセプトに沿った顧客体験の創出

とあるコーヒー関連の飲食店では、「サードプレイス」というコンセプトを設定しました。コンセプトに沿って、接客や空間デザインの提供という一貫性のある価値提供がなされます。この飲食店では、最新技術の採用にも積極的です。たとえば、レシートやペーパーカップに記載されたQRコードを読み込むと、AR動画が出現して顧客を楽しませてくれます。このように、コンセプトに沿った多くの価値を提供することで、多くの人が飲食店のブランドそのものに好印象を抱いています。

8.CX戦略を成功に導くためのポイント

CX戦略を成功に導くためには、 部分最適な考え方ではなく、部門を横断した全体最適を考えることが重要です。 自社にCX戦略を策定・実行するためのリソースやノウハウがない場合は、プロへの相談も検討しましょう。

8-1.CXリーダーを配置する

組織全体でCX戦略を推進するためには、各部署を横断して旗振り役となれるCX推進リーダーを配置しましょう。 顧客体験を向上させるためには、特定の部署だけが取り組むのでは十分な成果を得られません。 CXリーダーには、経営戦略や営業戦略と整合性が取れた、実行可能なCX戦略を策定・実行することが求められます。

また、顧客体験を変革するには、 顧客中心の文化を組織全体に根付かせる必要があります。 自社にとって「顧客中心」とはどういう状態を指すのかを定義し、社内の理解を促すとともに、適切なKPIを設定したり、評価制度を整えたりするなど、組織文化として定着させるための仕組み化も重要です。

8-2.一貫性のある価値提供を意識する

顧客が商品やサービスに接するあらゆる機会を「顧客接点」と呼びます。それぞれの顧客接点で「一貫性」をもたせたメッセージを届けられているかを意識しましょう。 一貫したイメージを訴求できていれば、顧客とのコミュニケーションが円滑となり、CXの向上が期待できます。

しかし、もし顧客接点ごとに異なるイメージを訴求してしまうと、顧客に企業ブランドをうまく捉えてもらえず、顧客離れを引き起こす可能性があります。顧客に届けたいブランドイメージを社内で共通認識とし、一貫性のある価値提供ができるよう意識しましょう。

8-3.データ管理体制を構築する

CX戦略を推進するためには、顧客情報を一元管理し、活用する仕組みが求められます。顧客情報を部門ごとに分けて管理していると、一貫性のある対応ができずに顧客を困惑させかねません。CX戦略推進に必要な仕組みとして、以下のようなものがあります。

  • 購買履歴や顧客属性などの顧客情報を管理するCRMツール
  • マーケティングに関する作業を一部自動化するMAツール
  • サイトの訪問者数の集計、行動履歴の分析に役立つWeb解析ツール
  • チャットボットなどのWeb接客ツール
  • VOC(顧客の声)を収集・分析するための音声認識やテキストマイニングを含めた次世代型コンタクトセンター
  • 社内に散在するさまざまなデータを統合分析するCDP

ツールを導入する場合は、各ツールをAPIで連携するなど、点での導入にならないよう全体最適の視点で選定・導入するように注意しましょう。

8-4.プロに相談する

CXリーダーを立ててCX戦略を策定しようとしても、取り組み方をイメージできない人もいるのではないでしょうか。自社にとって最適なCX戦略を実行するなら、プロ視点でのアドバイスも有効です。

9.まとめ

CX戦略は顧客視点で考えることが重要なポイントです。顧客中心の企業文化を醸成しましょう。また、顧客視点で施策を考える際には、ペルソナやカスタマージャーニーマップの作成が役に立ちます。部分最適ではなく、部門を横断した全体最適を考え、顧客に一貫した体験を提供できるよう、部署横断で旗振り役となれるCXリーダーを配置することも重要です。

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