CXMとは?
CRMとの違いやCXMの成功ポイントを解説!

ビジネスにおける顧客関係の構築にCRMを導入しているものの、「リピーターの定着に課題がある」「CXの改善方法が見出せない」という課題に直面する企業は少なくありません。顧客の価値観や行動が多様化している現代において、顧客情報を一元管理するだけでは十分とは言えません。そうした背景から生まれた概念が、CXをより戦略的に高める「CXM(カスタマー・エクスペリエンス・マネジメント、顧客体験マネジメント)」です。
この記事では、顧客体験の向上に課題を感じているマーケティング・営業・カスタマーサクセスの担当者の方へ向けて、CRMとCXの関係やCXMとの違い、CXMに取り組むメリット、成功のポイントについて解説します。ぜひお役立てください。
1.CX(カスタマーエクスペリエンス)とは
CXとは、顧客が商品やサービスに関わるすべての接点において感じる「体験価値」のことです。従来は、価格や機能などの合理的な価値が重視される傾向にありました。しかし、現在では購入前の情報収集から購入後のサポートまで、感情的な満足度を含めた体験全体が重要視されるようになっています。
SNSやスマートフォンの普及により、顧客との接点が多様化していることから、顧客体験価値の向上にはOne to Oneの最適な情報提供やコミュニケーションが求められています。体験価値を高めることで、ロイヤルティの向上やリピーター化、口コミによる新規顧客の獲得といった好循環が期待できます。
CXについては以下でも解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
CRM(顧客情報管理)とは
CRMとは、顧客との良好な関係を長期的に築き、企業の利益向上に結び付けるための戦略的な仕組みです。顧客情報や購入履歴、問い合わせ内容などを一元管理し、顧客一人ひとりの状況に合わせた対応を取ることで、信頼関係を深めてロイヤルカスタマーを育て、利益につなげます。
たとえば、誕生日にクーポンを送る、購入後にフォローメールを送るなどの対応もCRMの一部です。現在では、このようなマネジメント手法に加え、顧客対応を支援するツールやシステム自体も「CRM」と呼ばれています。One to Oneの接点を積み重ね、顧客との関係性を深めることは、LTV(顧客生涯価値)の向上を図る上で欠かせない要素と言えるでしょう。
CRMについては以下でも解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
1-2.CRMとCXの関係
CRMはCXを向上させるために不可欠な基盤であり、両者は切り離さず一体の施策として考える必要があります。CRMツールの導入により、顧客属性や購買履歴、接点ごとの行動などを一元的に把握することで、顧客ニーズに応じたパーソナライズな対応が可能です。こうした対応が、顧客にとって「自分に合う体験」としての価値を生み出し、CX向上につながります。
ただし、CRMツールを導入しただけでCXが自動的に向上するわけではありません。CRMツールのデータを活用し、感情面も含めた顧客体験の質を高める工夫を継続的に行うことが必要です。CXはブランディング、CRMは管理ツールと単純に分けて考えるのではなく、両者を組み合わせて全体の最適化を図る姿勢が求められます。
2.CXM(顧客価値管理)とは
CXMとは、すべての顧客接点において体験価値を最適化し、ロイヤルティ向上や収益拡大を目指す手法です。ただ製品の価格やスペックを伝えるだけではなく、購入前後の体験を通じて「満足感」「心地よさ」「感動」などの感情的な価値を提供することがCXMの目的です。
CXMは、顧客の声や感情といった定性的な情報と、購買データや推奨行動などの定量的なデータを結び付けることで、CS(顧客満足)やCRMをさらに進化させたアプローチと言えるでしょう。
2-1.CXMとCRMの違い
CXMとCRMはどちらも顧客との関係構築を目的としていますが、CRMが「情報管理」に重きを置くのに対し、CXMは「体験の質」に着目する点が大きな違いです。
CRMは、主に「企業側の視点」で顧客との関係を管理・最適化する考え方で、購買履歴や問い合わせ履歴などの顧客情報を一元管理することで、営業やマーケティング活動の効率化を図ります。顧客との長期的な関係維持を目指しながらも、企業側の管理や効率性に重点が置かれています。
一方、CXMは「顧客の視点」に立ち、顧客がブランドやサービスと接するすべてのタッチポイントにおける体験を重視します。その内容やタイミングが「顧客にとって心地よいか」「期待に応えているか」といった感情面に踏み込んで体験全体を最適化します。
たとえば、CRMではCRMツールのデータに基づいて「購入後にフォローメールを送る」ことを行いますが、CXMでは「メールが心地よい体験をもたらすか」に焦点を当てます。CXMはCRMの考え方をさらに進化させたものであり、顧客視点での真の価値提供を実現するアプローチです。
3.CXMに取り組むメリット
CXMに取り組むことで顧客体験の質を高め、自社の成長に直結する以下のようなメリットが得られます。
ロイヤルカスタマーを増やせる
顧客にとって心地よく一貫性のある体験を提供できれば、企業への信頼感が増し、リピーターやファンを獲得しやすくなります。結果としてLTVが向上し、安定した収益基盤を築ける可能性があります。
ブランドを競合他社と差別化しやすくなる
価格や機能での差別化が難しい時代において、CXは他社と一線を画すための強力な武器となります。優れた体験を提供することで「このブランドだから選ぶ」という動機が生まれ、価格競争に巻き込まれにくくなります。
LTVを向上できる
CXMでは、購入後の満足度を高め、感動させる施策を重視するため、アップセルやクロスセルの機会が広がります。関係性を継続させながら、売上向上につなげることができます。
4.CXMを成功させるポイント
CXMを成功させるには、顧客視点に立った一貫性のある体験設計と、その効果を継続的に検証・改善する必要があります。ここでは、CXMを成功させる主なポイントを解説します。
4-1.顧客を深く理解する
CXMの成功には、顧客の感情や価値観に寄り添った体験設計が不可欠です。顧客理解を深めることで、一人ひとりに最適なタイミング・方法でアプローチでき、CX向上やロイヤルカスタマーの獲得につながります。
まずは購買プロセスやWeb上の行動データといった定量的なデータに加え、口コミやフィードバックといった定性的な情報も集めた上で分析を行います。その上で、顧客の属性・行動・興味を基にプロファイリングを行い、パーソナライズされた情報提供を実践しましょう。
4-2.継続的に施策の効果を測定する
顧客の価値観やニーズは常に変化しており、現在の対応が今後も最適とは限りません。CXMにおいては、施策を一度実施して終わりではなく、その後の効果を定期的に振り返り、顧客体験の変化を早期に察知して改善することが重要です。
効果測定の際は、顧客の行動段階ごとに体験を分解して確認することが求められます。たとえば、広告と店舗の印象にギャップがあると、体験がちぐはぐになりかねません。全体を通して一貫性のあるCXを提供できるよう、常に点検と調整を繰り返す姿勢がCXMの成功には必要です。
4-3.AIを搭載したCRMツールを導入する
AIを搭載したCRMツールでは、顧客データの分析や活用を自動化・高度化でき、顧客体験の質と業務効率の両立が実現します。従来のCRMツールは顧客情報の蓄積や可視化が中心でしたが、AI搭載型のCRMツールは顧客行動の分析や将来のニーズ予測ができます。顧客の行動や嗜好を基に、最適なアプローチ先やタイミングを提案することで、営業やマーケティングの精度を飛躍的に高められるでしょう。
たとえば、CRMツールとAIチャットボットを連携させることで、顧客対応の自動化と同時に顧客満足度の向上を図れます。CRMツールのデータを基にAIが個別に商品を提案することで、エンゲージメントの強化も可能です。さらに、予測AIと生成AIを組み合わせたCRMツールなら、メール作成や売上予測も自動化できます。マーケティング戦略のパーソナライズが容易になる点から、CX向上と業務効率化の両立を目指すなら、AIを搭載したCRMツールの利用は今後欠かせない選択肢となるでしょう。
5.まとめ
CRMとCX・CXMはそれぞれ異なる役割を持ちながらも、顧客との関係性や体験価値を高める上で欠かせない要素です。CRMは顧客情報の蓄積と活用を支え、CX向上の土台を築きます。CXMは、感情や印象といった顧客視点の体験を継続的に改善し、顧客ロイヤルティやLTVを最大化するアプローチです。
顧客を深く理解した上で施策を継続的に検証しながら、AI搭載型CRMなどの先端ツールも活用することで、より質の高い顧客体験の提供が可能になります。altcircleでは、CRM・SFAプラットフォームの導入から運用支援、CRM施策の最適化まで支援しております。各種サービスについては以下でご紹介しています。ぜひあわせてご覧ください。