コクヨ株式会社 様
なぜコクヨはWebサイトを統合したのか?
120周年を契機に進んだブランドと顧客接点の再設計
コーポレートサイトと事業サイトが分散し、それぞれが個別最適で運営されている――
コクヨ株式会社では、長期ビジョン「CCC2030」を策定以降、社会における役割を「WORK & LIFE STYLE Company」と再定義しました。「働く」「学ぶ」「暮らす」の領域で新しい体験を届けるため、事業や地域の領域拡張を目指して、ブランドのあり方や顧客接点の再定義が求められていました。しかし、実際のWebサイトは、各事業領域ごとにドメイン・デザイン・システム・運用が分散しており、「文具の会社」という従来のイメージを越えた価値を十分に伝えきれない状況にありました。
その中で迎えた創業120周年。コクヨは初のコーポレートメッセージ「好奇心を人生に」のもと、顧客に新たな体験価値を届け続ける企業への進化を目指し、「文具・家具・空間・通販・コーポレート」の5つの事業領域を1つのドメインに統合するという意思決定に踏み切りました。これにより、分散していたWebサイトを統合し、ブランドの一貫した発信と、顧客が価値にたどり着く導線の再設計を実現しました。
この取り組みは、単なるWEBサイトのリニューアルではありません。ドメイン・CMS基盤・デザイン・運用を横断的に統合することで、企業全体としての顧客接点を再構築し、ブランド発信力の強化と運用効率化を同時に実現する“構造改革”です。さらに、モノの機能だけでなく、その先にある体験価値までを伝える――コクヨが追求する価値を、Web上でどう具現化するかにも挑戦しました。
本事例では、今回のWEBリニューアルプロジェクトを振り返りながら、ブランド価値と顧客接点の再定義のポイントをお話しいただきます。
- 本事例記事の内容およびお客様のご所属・ご役職は2026年8月制作時点のものです。
コクヨ株式会社
大阪府大阪市北区大深町5番54号
グラングリーン大阪 パークタワー 14階
コクヨは、1905年創業の大阪府大阪市に本社を置く、文房具、オフィス家具、空間デザイン事業などを手がける企業です。2025年10月に創業120年を迎え、「Curiosity is Life - 好奇心を人生に」という初のコーポレートメッセージを設定。長期ビジョンにおいて「WORK & LIFE STYLE Company」と自らの役割を再定義し、文具・家具・空間といった事業の枠を超え、人々の働く・学ぶ・暮らす体験価値の創造に取り組んでいます。
本事例記事の全文はフォームからお申し込み後、PDFでご覧いただけます。
120周年を契機に進んだ、ブランドと顧客接点の再設計
今回のプロジェクトは、当初は文具サイトの刷新としてSCSKにお話をいただきました。その後、コクヨ様全体のサイトリニューアルへと発展したわけですが、まずは、その背景をお聞かせください。
コクヨ様:文具サイトは長きにわたり増改築を繰り返してきた結果、システムの複雑化・ブラックボックス化が進み、運用や保守の負荷が年々高まっていました。また、お客様にとっても、必要な製品情報を探しづらく、回遊しにくい構造になっていました。こうした課題を解消し、お客様にとって使いやすく、コクヨにとっても継続的に改善できるサイトへ刷新したいと考えていました。
それが、コクヨ様全体のサイトリニューアルへ発展したのはなぜでしょうか。
コクヨ様:弊社は2021年に「長期ビジョンCCC2030」を策定以降、社会における役割を「WORK & LIFE STYLE Company」と再定義しました。また、創業120周年を機にコクヨとしては初めてとなるコーポレートメッセージ「Curiosity is Life - 好奇心を人生に」を設定しました。しかし、従来のサイトでは、そうした新しいブランドの姿や、文具・家具・空間へと広がるコクヨの価値を十分に伝えられていなかったのです。
加えて、コクヨは過去に分社化していたこともあり、それぞれの事業ごとにサイトのドメインやデザインもバラバラでした。そこで、ブランド発信力を高め、顧客との接点を再設計するとともに、運用効率や社内連携の強化につなげる目的で、文具サイトの刷新も含めて、サイト全体を統合・リニューアルする「ワンコクヨプロジェクト」を進めることにしたのです。
ブランドと顧客接点を支える「ワンコクヨ」の基盤づくり
従来のサイトは、具体的にどのような課題を抱えていたのでしょうか。
コクヨ様:従来のコクヨ様のWebサイトは、企業サイトや文具、家具などの事業領域ごとにドメインやデザイン、システム基盤が分かれており、運用方法もそれぞれ異なっていました。こうした環境では、サイトごとの運用負荷が高まるだけでなく、将来的な機能拡張やサイト改善も進めにくくなります。そこでSCSKはコクヨ様が目指す「ワンコクヨ」の実現に向けて、複数のサイトを1つの基盤上で管理できる構成をご提案しました。ポイントは、ドメイン、システム、運用を共通化しながらも、事業ごとの特性には柔軟に対応できる基盤を構築することでした。
具体的には、ドメインを統一するとともに、システム基盤には複数サイトの統合管理や拡張性に優れたオープンソースCMSの「Drupal」を中核に据え、運用ルールやコンテンツ管理の仕組みも標準化できる構成としました。さらに、その上でサイトデザインの統一にも対応することで、ブランド発信力の向上と運用効率化の両立を目指しました。
複数事業を横断する大規模プロジェクトをどう推進したのか
プロジェクトの体制や進め方、苦労された点についてお聞かせください。
コクヨ様:プロジェクト体制としては、コクヨ、デザインを担当するマウント社、システムを担当するSCSKの三位一体の体制で進めました。私の所属するコーポレート部門が全体の取りまとめを担当しましたが、文具・家具・空間・カウネットなど、それぞれの事業領域で扱う製品や顧客接点、文化が異なるため、全体の方向性を揃えることが最も大きな課題でした。また、デザインを担当するマウント社とシステムを担当するSCSKの専門的な意見を取りまとめながら、プロジェクト全体として最適な判断を行う必要もありました。
コクヨ様:特に苦労したのは、B2Cの文具事業とB2Bの家具事業で、お客様への情報の届け方や商品の見せ方が大きく異なっていたことです。それぞれの事業が大切にしている価値や顧客ニーズを尊重しながら、コクヨ全体として一貫したブランド体験を実現する必要がありました。そのため、家具側の要件を反映した結果、設計が進んでいた文具サイトの要件を見直す場面もありました。
コクヨ様:今回のプロジェクトでは、最初にお話しをいただいた文具サイトのリニューアルプロジェクトが先行となり、そこで整理した要件や運用方針をワンコクヨ全体へと展開する形を取りました。全事業の要件整理を同時に進めるのではなく、先行プロジェクトで得た知見を横展開することで、全体のリスクを抑えながら統合を進めることができました。
また、コクヨ様の構想を具体的なWebサイトへ落とし込むにあたり、情報設計・デザインを担当するマウント社と、システム構築を担当するSCSKが連携しながらプロジェクトを推進しました。デザインとシステム開発を並行して進める必要がありましたが、密にコミュニケーションを取りながら進めることで、創業120周年の節目となる2025年10月2日に新サイトを公開することができました。
システムの構成としては、コーポレート・文具・家具・空間・カウネットの5つのサイトを1つのDrupal環境で管理しています。構成としてはシンプルですが、複数事業のサイトを1つの基盤上で管理できるようになったことで、運用や改善を進めやすい環境を実現できたと考えています。
複数事業で使える共通基盤がサイト運用を変えた
運用効率化とデザインの統一を両立させるため、どのような工夫をされたのでしょうか。
コクヨ様:CMSによるコンテンツ管理には、デザインの自由度は高いもののコーディングスキルが要求されるHTML流し込み方式や、スキルは必要ないもののデザインが固定化している定型レイアウト方式がありますが、今回はその中間に位置する「パーツ組み上げ方式」をご採用いただきました。これは、あらかじめ用意したパーツを組み合わせてページをデザインする方法です。ブロックを組み合わせる感覚でページを作れるので、運用の効率化とデザインの自由度の両立を図れます。
コクヨ様:パーツ組み上げ方式を採用すると決めてからは、パーツの制作に特に力を入れました。事業ごとに扱う商材や作りたいコンテンツは異なりますが、できるだけ共通で使えることを意識した結果、全部で85個のパーツとなりました。数は多いのですが、マガジン系、ランディングページ系などにカテゴライズし、CMSの画面上で選びやすいように工夫しています。
コクヨ様:文具については、細かい機能を訴求すべき商品群と、その文具を持つことで「気分が上がる」など体験価値や情緒性を訴求すべき商品群に大きく分かれています。そこで、パーツを組み合わせて機能系セット、情緒系セットというテンプレートを作り、製品に合わせて使い分けるようにしました。
「WORK & LIFE STYLE Company」を伝えるWebサイトへ
最後に、今回のプロジェクトで得られた成果と今後の展望についてお聞かせください。
コクヨ様:今回のサイトリニューアルによって、ページを作って検証するというPDCAサイクルを素早く回せるようになったことが大きい成果です。今後は、新しいサイトを最大限に活用して、ウェブや SNSからの流入、ECへの送客、検索キーワードといったデジタル上のデータと販売データをつないだデータ分析基盤の構築を目指したいと考えています。また、自動翻訳サービスを活用してグローバルへの情報発信力も強化する予定です。
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- 本事例記事の内容およびお客様のご所属・ご役職は2026年8月制作時点のものです。
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