導入事例

西日本旅客鉄道 株式会社

「WESTER体験」を軸にしたJR西日本のデジタル戦略
~グループシナジーを最大化する自社運営ECモールとは~

昨今、消費者のオンラインショッピングに対する期待が高まる中、ECビジネスはさらなる進化を求められています。Amazonや楽天などのECモールへの出店だけでなく、自社でECサイトを運営することも当たり前になってきました。

JR西日本様は、2024年4月に主にグループ会社が出店・出品する自社運営のECモール「WESTERモール※1 」をオープンしました。WESTERモールは、会員登録しなくても購入できる一方、グループ共通のWESTER会員であれば鉄道利用など日常で貯めたポイントがつかえるとともに、ECのお買物でもポイントがたまるおトクなサービスです。西日本を中心に全国のおみやげを取り扱っており、旅マエ~旅ナカ~旅アトまで、スマホひとつで、“いつでも、どこでも、便利に" お買い物できる体験を提供しています。
さらに、現在開催中の「EXPO 2025 大阪・関西万博」では、このWESTERモールの仕組みを活用した万博来場者限定のオンラインストア※2 をオープンし、万博限定グッズの自宅配送や、JR西日本様のエキナカ店舗での受取サービスを展開しています。

  1. 「WESTERモール」のオープンについて(2024年3月13日プレスリリース)

  2. EXPO 2025 JR西日本グループ情報発信サイト

本事例では、WESTERモール構築プロジェクトを振り返りながら、JR西日本様のデジタル戦略の核である「WESTER体験」に関する取り組みや今後の展望についてお話しいただきました。

「WESTER体験」を軸にしたJR西日本のデジタル戦略 ~グループシナジーを最大化する自社運営ECモールとは~
  • 本事例記事の内容およびお客様のご所属・ご役職は2025年9月制作時点のものです。

西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)

大阪市北区芝田二丁目4番24号

https://www.westjr.co.jp/

西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)様は、鉄道・交通事業を中核にホテルや流通・物販飲食、旅行などのモビリティサービス分野とショッピングセンターや不動産などのライフデザイン分野の2つの分野の中でさまざまな事業を展開しています。「人、まち、社会のつながりを進化させ、心を動かす。未来を動かす。」を「私たちの志」として掲げ、その実現に向けて挑戦することで、将来にわたって価値を創造する企業グループへと進化することを目指しています。

本事例記事の全文はフォームからお申し込み後、PDFでご覧いただけます。

JR西日本のデジタル戦略とその実現のカギを握るWESTERモール

JR西日本様は、2024年4月、「WESTERモール」という新しいECサイトをオープンされました。その背景、狙いをお聞かせください。

JR西日本様:JR西日本グループでは、2023年度からスタートした現在の中期経営計画を公表する際、将来にわたって価値を創造する企業グループへと進化するため、グループの価値創造体系の見直しを行いました。
そこで、まず掲げたのが「人、まち、社会のつながりを進化させ、心を動かす。未来を動かす」という「私たちの志」です。そして、その具現化のために、さまざまなステークホルダーに対して「段違いに便利で、お得で楽しい顧客体験を提供する」ことを目標とし、その体験を「WESTER体験」と呼ぶことにしました。
その中心となるのが「WESTER ID」と「WESTERポイント」です。この2つを中心に据え、その周囲にリアルとデジタルを融合させたさまざまなサービスを配置することで、WESTER体験の実現を目指しています。具体的には、JR西日本グループが提供する鉄道・ショッピング・旅行などのサービス群をWESTERポイント中心に連携させることで、お客様の利便性を高めてLTVを向上させるだけでなく、西日本の地域経済を活性化させるエコサイクルの実現にチャレンジしています。

その取り組みの一環として構築されたのが「WESTERモール」というわけですね。

JR西日本様:はい。グループ各社はリアル店舗での顧客接点は多かったものの、オンラインの接点が不足していました。そこで、グループ各社や協業先が独自にECを用意せずとも利用できる共通プラットフォームとしてWESTERモールを立ち上げ、西日本を中心とした厳選された「ご当地グルメ」や「お土産」、「隠れた逸品」「鉄道グッズ」などの商品・サービスを提供することにしたのです。これにより、お客様一人ひとりのエンゲージメントを強化してグループ全体のLTVを底上げするだけでなく、プラットフォームの共通化による各社の業務効率化やセキュリティリスクの低減も実現できると考えました。

WESTERモールのシステム構成とSCSKが果たした役割

SCSK:WESTERモールのシステム構成について、簡単にご紹介します。まず、ECフロントには、AIを活用した商品検索やパーソナライズレコメンドなどの機能を持ち、グローバルでも豊富な実績を誇る、セールスフォースの「Salesforce B2C Commerce」が採用されました。
また、バックオフィスにはオンラインマーケットプレイスの迅速な立ち上げと効率的な運営を支援する、モール型ECに必要な機能を備えたOMSであるMiraklのマーケットプレイスソリューションが採用され、注文管理や在庫管理、価格管理などを行っています。
そして、わたしたちSCSKはSalesforce B2C CommerceによるECフロントの開発やMiraklとの連携に加え、認証基盤やポイント基盤、決済プラットフォームとの連携など、各サービスの標準機能だけでは対応が困難だった部分のカスタマイズ開発を担当させていただきました。さらに、サイトのローンチ後はデジタルマーケティングの伴走支援もさせていただいております。

WESTERモールのシステム構成

高度な技術力と対応力を評価してSCSKを開発パートナーに選定

今回、こうした構成を採用した理由、そしてSCSKを開発パートナーとして選んでくださった理由についてお聞かせください。

JR西日本様:おかげさまでWESTER会員は1000万人を超えました。当然、今後もさらなる拡大を図っていきます。こうした大きな規模でお客様に価値を提供していくにあたり、安全で安心してご利用いただける拡張性や性能を備えていたことが、今回のシステムを選定した理由のひとつです。
また、「段違いに便利で、お得で楽しい顧客体験」を提供するためには、高度なパーソナライゼーションやレコメンドの機能を有していることも必要でした。
さらに、当社グループが保有する既存のさまざまな仕組みと連携できることも重要でした。SCSKさんを開発パートナーとして選んだのは、こうした我々のニーズに対応できる高度な技術力・対応力があり、安心してお任せできると判断したからです。また、単なるシステム開発の域を超えて、ビジネス成長に向けたデジタルマーケティングのサポート体制が整っていることも魅力的でした。

SCSK:ありがとうございます。ローンチ後のデジタルマーケティングの支援についてはいかがだったでしょうか。

JR西日本様:SEO対策により指定したキーワードのクリック数が16%アップしたり、特集ページの改善により直帰率が改善したり自然検索流入数が5.4倍になったりなど、着実に効果が出始めています。ぜひ引き続き、さまざまな分析をもとにした効果的な施策を提案していただきたいです。

大坂・関西万博限定グッズの販売や駅・空港・ホテルでの商品受取サービスなど、WESTERモールを活用した新しい顧客体験を創出

オープンから約1年が経過した現在、状況はいかがでしょうか。

JR西日本様:出店数、商品数ともに伸びているのですが、商材がお土産中心のためリピート利用につながりにくく、まだまだこれからという状況です。とはいえ、WESTERポイントの出口戦略になることがポイント利用実績から見えてきていますので、出店者に向けた販促や売上拡大の支援を行うとともに、魅力的な商品を展開する出店者様との協業を強化していくことで、さらなる成長につなげたいと考えています。
また、システム面では、導入したソリューションの機能を十分に使いこなせていないと感じていますので、SCSKさんと密にやりとりして機能を活用し、魅力的な売場作りに役立てたいと思います。

WESTERモールを活用することで実現できた新しい顧客体験についてもお聞かせください。大坂・関西万博の限定グッズも販売されていると伺いました。

JR西日本様:はい。WESTERモール内に万博来場者向けのオンラインサイトを作って、万博限定グッズを販売しています。国内旅行者だけでなく、訪日外国人向けの多言語対応も行いましたが、来場した海外の方がオンラインで買えることに気付きづらいといった課題もあり、インバウンド注文はまだまだこれからという状況です。しかしながら、「店舗とECで2820万人の来場がある」という事前の想定通りに売上は推移していますので、今後に期待したいと思います。
また、送料が軽減できることや観光中の荷物を増やさずに済むことから、WESTERモールで注文した商品を駅のお土産ショップで受け取れる「店舗受取サービス」が非常に好評です。この結果を受けて、インバウンド向けに空港受け取りやホテル受け取りなどのサービスを拡充することを計画しています。

インパウンド向けの対応以外に今後のWESTERモールの展望があれば、お聞かせください。

JR西日本様:まずはカテゴリー、商品をさらに拡充し、魅力的な売場をつくっていくことが重要だと考えています。また、コンテンツや機能を充実させたり、ポイントサイトやデジタルチケットサイトと統合したりもすることも必要です。さらに、モノだけではなくコト、つまり魅力的な体験型のサービスも組み合わせることで、より楽しくてワクワクするサイトを目指したいと思います。そのためにも、引き続き、SCSKさんの支援に期待しています。

SCSK:ありがとうございます。引き続き、ご満足いただけるように全力で支援させていただきます。本日は、貴重なお話をありがとうございました。

Appendix

SCSKが考えるビジネスメリット

自社運営ECモール(マーケットプレイス)のビジネスメリットとは

本事例でご紹介したJR西日本様をはじめ、大手百貨店や家具・雑貨を取り扱う大手企業などでは、自社の事業ドメインを拡張し、テナント企業やグループ企業が商品を出品できる「自社運営のECモール(マーケットプレイス)」を導入するケースが増えてきています。
ここでは、自社でECモールを運営することで得られるビジネスメリットを簡単に解説します。

  1. SKUの拡張により、顧客満足度やサイト回遊率が向上
    外部セラーとの連携により、自社製品だけでは対応できない幅広いカテゴリーの商品を販売できるようになるため、顧客満足度やサイト回遊率の向上が見込めます。
  2. 在庫リスクが抑えられる
    セラーが在庫を持つことにより、自社で在庫を持たずに事業規模を拡張可能です。
  3. 手数料ビジネスにより新たな収益源を創出
    出店手数料・販売手数料・広告収入など、物販収益に左右されないストック型の安定収益源を新たに創出します。
  4. セラーの販売データを自社の商品開発に活用
    自社で開発を検討しているカテゴリーの商品を出品しているセラーの販売データを分析することで、自社製品開発の成功率を高め、開発投資のリスクを軽減します。
  5. 集客力の強化
    注目度が高く人気のある商品を持つセラーに出店してもらうことで、自社ECモールの認知が高まり、集客力が向上します。さらに、セラー側の独自プロモーションによるサイト流入増も期待できます。

自社運営ECモールについて、より詳細な情報をご希望の方は、ぜひ下記までお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせ先:cx-info@scsk.jp(altcircle担当宛)

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  • 本事例記事の内容およびお客様のご所属・ご役職は2025年9月制作時点のものです。

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